戸建て住宅において、塗り替えの必要性が高いのは外壁と共に屋根です。
屋根は常に太陽光や雨風にさらされていて、劣化が進みやすいからです。
もし屋根が劣化するままにしておくと、雨漏りなどの大きな被害が出る恐れがあります。
日本の家屋では、スレート瓦という屋根材が多く使われています。
このスレート瓦屋根の塗り替えをする時には、他の屋根材とは異なる注意点があります。
スレート瓦の特性について知り、その注意点についてチェックしてみましょう。
スレート瓦の特性について
スレート瓦は、「コロニアル」や「カラーベスト」とも呼ばれることがある屋根材です。
日本の気候風土に合っているため、非常に多用されている建材の一つです。
この屋根材は、セメントに繊維質を入れたもので、だいたい5ミリの厚さがあり、表面に凸凹が付いた板状に成型されています。
一般戸建て住宅ではスレート瓦が使われることが多いのですが、その理由の一つに低コストで施工できることが挙げられます。
スレート自体が安いのに加えて、1枚1枚が比較的軽く、施工しやすいことから、施工コストも下げられます。
さらに、加工成型がしやすい材料ですので、形やカラーのバリエーションが豊富で、好みに合わせて選べるメリットも大きいです。
明るい色合いでちょっと厚めにすることでヨーロッパ風のおしゃれな屋根にすることもできますし、シンプルでクールな印象を与えるブラックカラーに統一することもできます。
日本でコロニアル屋根が多い理由としては、災害に強い点も大きいでしょう。
コロニアルは頑丈な割に軽量化できるので、屋根の重みを減らせるというメリットがあります。
家全体にかかる負担を減らせるため、たとえば地震で強い負荷がかかっても、柱が耐え切れるわけです。
逆に、伝統的な日本瓦は重いので、強い負荷が柱などにかかって、家が潰れてしまう一つの要素となってしまうことがあります。
また、万が一地震や台風などの強い風で屋根材が飛ばされても、危険度を下げられるというメリットも重要です。
もちろん、上からスレート瓦が落ちて、頭部に直撃したら大きな危険があります。
それでも、より厚くて重い日本瓦やセメント瓦よりは安全なのです。
一般的なスレート瓦は、幅が91センチ、高さが41センチちょっとあります。
屋根を葺く際は下から横に1列ずつ並べていくのですが、その時に少しずつ瓦が重なるように並べていきます。
上の段を張る時にも、やはり下の瓦と重なるように並べて、釘打ちをして固定していきます。
こうすることで、雨が降っても隙間から漏れてしまうことがないようにします。
スレート瓦の下には防水シートを貼っていますが、それでも隙間から水が入り込むと、雨漏りの原因となりますので、こうした張り方はとても重要なのです。
スレート瓦は、経年劣化によって、表面の塗装部分がはげてきます。
また、雨によって湿気を帯びると、コケや藻が生えやすい状況となります。
そのままではひび割れや欠けなどの原因となり、劣化したり破損したりした箇所から雨漏りが生じる恐れがあります。
風で飛ばされて、事故の原因にもなりかねません。
そのため、定期的に塗装をして保護する必要があります。
状況や使用した塗料によっても異なりますが、5年から10年くらいの頻度で塗り替えをすることが多いです。
タスペーサーの役割
上記のように、スレート瓦は上下の列を重ねて張っていますので、その重なりの部分に多少の隙間があります。
隙間があり過ぎると、そこから水が入り込みやすくなります。
一方で、隙間が非常に狭いと、毛細血管現象で水が吸い込まれてしまい、やはり雨漏りの原因となります。
そのため、スレート瓦は常に多少の隙間があるくらいが最も良いわけです。
しかし、屋根を塗装すると、スレートの縁にも塗料が入り、この隙間が埋まってしまうことになります。
すると、隙間がなくなり、密封された状態となってしまいます。
隙間がないと、内部に水が入り込んだ時に水が逃げる場所が失われてしまい、次第に水が溜まって、雨漏りを引き起こすことがあるのです。
雨漏りまで行かなくても、水が滞留するため、スレート材や下の防水シート、木材などが劣化しやすくなります。
こうしたことから、コロニアル屋根の塗り替えでは、単に塗料を塗って終わりではなく、縁切りという作業が必要になってきます。
塗装が終わった後に、カッターなどを使って、塗膜を切って隙間を空ける作業です。
しかし、これだとかなり手間がかかるため、最初からスレートに、プラスチック状のタスペーサーを入れ込みます。
すると、スレートが持ち上がってタスペーサーによる隙間ができ、塗装をしても埋まらないのです。
e‐craftでは屋根の塗り替えの際、タスペーサーを使い、スレート瓦の塗装仕上げを丁寧に行っています。
見た目も美しくなりますし、雨漏りなどのトラブルを避けることができるので、おすすめです。
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